いつもどおり変わること。陳情令と棋魂とその他。

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 はじめましてこんにちは、世界中に推しがいるコットンと申します。今追いかけて見てるドラマは、『九州縹緲録』『クイーンズ・ギャンビット』『客-ザ・ゲスト-』です。2年目となる、はとさん主催の素敵な企画、アドベントカレンダー「ぽっぽアドベント」の12/19担当です。他に19日担当の方はとばをさんと林檎野めだまさんです。二人とも0時には記事をアップしてたんだぜ…へへ…。はとさん主宰おつかれさま!

今年のテーマは「変わった/変わらなかったこと」。

前半は、テーマを聞いてから、もやもや考えていたことを書いてみたいと思います。当初は単純に、今年一年推した俳優についての愛を語ろうと思っていました。でも、書きたくなったことができたので…技量が追いつかず、私の文章力で表現できるか分からないのですが、まあ誰に怒られるでもなし。意味不明になってたら今日のカレンダーのことは忘れてください。後半はただの推しトークだからそこまで飛ばしてもいいよ!

 

まず変わったこと。

私の誕生日は10月です。そこで先日、Tiwtterで周りの人たちからハピバのメッセージをいただいたのですが、目についたフレーズがありました。
「いつも楽しそう」
なので、また今年も一年楽しくあれますように~!と何人もの人が書いてよこしたんですね。

楽しそう?私が?
生まれて初めて言われました。
まあ、騒がしい、ということなんでしょうけど、私はそれまでもだいぶ騒がしかったと思うんで、何も今年はじまった話でもない…。私は子供の頃からいつもムスッとしていると言われ、卒業アルバムは小中両方で撮り直しになって授業中に別室送りになりましたし、いつも悲観的でくよくよとし、卒業文集でも「クラス一暗い人ランキング」に名を連ねる出来の陰キャなんです。

でも初めて言われました。「いつも楽しそう」と。

これが、私の「変わったこと」です。
2019年10月から、2020年10月までの間に、私は「いつも楽しそう」に見える人になったらしい。(※2019年の誕生日は、土曜だというのに次の日の新刊をまだ未入稿という、極道が過ぎる状態だったのでみんなには「生きろ」的に言われてただけという説もあるんですが)


…で、そう見える原因を考えてみたのですが…
でもやっぱり、毎日毎日ドラマや俳優や映画に対して「ギャーッ!あばばば」とか言ってるからですよね。知ってます。

これが、私の「変わらなかったこと」です。
ここ数年、中国ドラマの沼にハマってしまい、現在も継続中です。
といっても手広くというよりは、ひとつひとつ、ドラマを見ては次、見ては次、としているくらいのものなのですが。

なおこれが昨年書いたぽっぽアドベントです。初心者過ぎて恥ずかしい。思えば遠くにきたもんだ。

 結局あれからずーっと、見る新作の7~8割くらいは中国作品という日々が続いています。残念ながら私を沼に沈めた傑作『軍師連盟』ほどの衝撃を与えてくれる作品には出会えていませんが、完走できるドラマには、ほぼ必ず素晴らしい俳優さんが何人も出演されていて、匠たちの輝きを浴びて灰になることができるんですよ。毎回灰になれることってそうそうないです。さすが13億人もいると違います。

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 それでですね。ちょっと脱線しますが、中国沼にいて、今年、ちょっといいなって思ったことを書きます。

 Covid-19の影響で、世界のエンタメ業界はかなりのことが停滞しました。全てのイベントがなくなり、映画やドラマも舞台も新作が発表されなくなりました。私も推しに会うための海外旅行を2つ飛ばしました。
 中国に関しては、2019年12月頃から武漢のニュースが聞こえてくるようになり、2020年1月には旅行をキャンセルせざるを得ない状況(昨年の「ぽっぽアドベント」にすでにチケットをとった、と書いた旅行)で、私のファン活動は洋画沼のみなさんより数か月早くCovid-19の影響を受けました。
 ただ、あちらは復活も早かった。もちろん元通りとはいかないものの、この夏から秋には各地影視城での撮影が再開して、遅れを取り戻さんとばかりに、撮影ラッシュになりました。横店なんかだと、2019年の9月に比べたら倍くらいの本数のドラマや映画の撮影が行われているんじゃないかな。大規模なイベントも、見た感じでは普通に行われています。

 さらに、中国の俳優たちは、仕事ができない期間でもめげずに毎日のように動画や写真をネット上にアップし続けました。俳優がケータリングのごはんを食べるだけの動画でも、新しいものが上がっていれば「元気でいるんだ」とポジティブになれました。ちょっと歌うだけの動画でも、きちっと字幕とエフェクトがついていて、その手間暇に感心しました。彼らは自分たちが人に元気を与える存在だと知っていて、時には笑顔で時には真剣な顔で、「乗り切ろう」と呼びかけ続けました。(政府が利用してるかもって?まあいいじゃないか、首相が毎日宴会したり花見したりしてるどこかの国よりは…)
 時差が1時間しかないので、私の夜は彼らの夜。不思議なもので、ロンドンだろうがNYだろうが、SNSに今投稿されたものであることはかわらないはずなのに、私が見ている夜空とほぼ同じ夜空の下で投稿されたと思うと、より同じ世界に生きてるような感じがして、親近感がわきました。

 ハリウッドやブロードウェイから新作の足音が聞こえない今、いつものようにミラクルハイペース(ドラマを1日に8話配信とか、週6話配信で全35話を一か月で配信しきるのは本当についていけない)で作品を世に出し続ける中国エンタメ界が、ひきこもりの私にいつもの日常を与え、そしていくつもの扉を授けてくれました。
ちょっといいな話、ここまで。


 そうしてずーっと変わらず、毎日Weiboをチェックしたり、WOWOWの放送する中国ドラマを見ていたら…「変わったこと」が発生しました。

 ムービー・スター誌も、スクリーン誌も、中国ドラマブームを本誌の特集記事で伝える世の中になりました。1年前ではちょっと考えられないことです。在日中国人向けの小規模公開だった「羅小黒戦記」に、当代一の声優による日本語吹替がついて、全国のシネコンで公開されるようになりました。昨年のぽっぽアドベントに書いた「日本人向きでないらしい映画」に日本語字幕がついて、再上映されました。(見てきたよ!感想はそのうち。8割がた、ただのいい話だった)

 私の身の周りでも、中国ドラマについてお話してくださる人が増えました。神戸と横浜の中華街に行って、友達と萌えトークしてきました。TLが、中国語とタイ語であふれるようになりました。中国人の友達ができて、わたしの漫画を翻訳してくれました。私も、去年中国に行った時とは比べ物にならないくらい、中国の各種アプリを使いこなしている自信があります。通販ももはや臆することはありません。(めんどくさいけど)

 そして何より、推しがメチャクチャ増えました
花咲く将来を期待して見守りたい若者もいれば、私に「素晴らしい演技を見る」という快楽を与えてくれる人類の宝まで、たくさんの俳優を認識しました。知識が増えるって素晴らしい!好奇心が満たされるって素晴らしい!成長と変化を感じる!毎日毎日、世界の謎を解いているようです。

 でもね…これってやっぱり「変わらなかったこと」なんです。結局、私はずーっと俳優や声優という技能を持つ人々のことを尊敬していて、愛すべき存在だと思ってきました。たくさんの人が大事に作ったコンテンツとその業界をとても愛していて、今も昔もずーっと幸せでした。トシだけはとってしまいましたが、ラッキーなことに「新しいコンテンツを楽しむ体力」もそこまで落ちていないと思います。

 つまり何が言いたいかというと、「変わったこと」と「変わらなかったこと」は逆の事象ではなくて、入れ子でモザイクだということです。
変化にいつも通り対応していると、更に変化して、自分のものになっていくし、そのまま自分の規範にのっとったものだけが残るし、みたいな…。でもそれって結局変化してないってことなのかな?と焦ったりもするけど…(※変化を恐れるようになったら老害だと思って生きてるので)

 今年は外部の状況だけで脳汁が出るような、海外旅行なんかの大イベントはなかったけれど、そこにテレビとネットと自分しかいなくても自分は変われるし、そして全然変わらないんだなあとつくづく思った年だった。というのが今年のぽっぽアドベントのテーマについて考えたことでした。

 前半おわり。


ここからは、推しについて語るよ!


まず今年見たドラマ作品からおすすめを。
『陳情令』

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 次号のムービースター誌の表1掲載!白主人公と黒主人公のブロマンス。中国古装ドラマの一大ジャンル、武侠/仙侠ものというやつです。

 雑に語ると、だいたい陰陽とか五行とかお札とかが飛び交い、ふわっと仏教/道教儒教ぽさを下敷きにしたエンタメ世界観で、仙人たちがたいてい戦ってるジャンルです。だいたい剣に乗って飛ぶ。日本の少年漫画のキャラがだいたいそれぞれの異能力持ってたり「気」とかを放っちゃう、みたいなお約束がそこにはあります。
 本編は、どこまでも美しい人たちの、笑顔と苦悩と地獄と絶望と理不尽。そこからの救済する愛と救済されない愛。CLAMP作品…いや、東京BABYLONやXが好きな人なら、当時を思い出しながら「そんなのないよ~!!」と胸かきむしってドハマリするんじゃないでしょうか。悪いこと言わないから見て。箱ティッシュ置いといた方がいいです。
シナリオの軸は怪奇ミステリーなんですが、なんといってもこのドラマの特徴は俳優たちの美しさでしょう。
 美しさを決める価値観は人それぞれですが、右を見ても左を見ても、1カットごとにいろんなタイプの美がぶん殴ってくる上、スタッフは多分、今ここで彼が一番美しく見えるカットが撮れた……と判断したら、ドラマの整合性や必要性を多少捨ててでもそっちに舵を切っていると思うふしすらあります。おかげさまで「細かいことはいいか~」と許してしまい、変な部分は後で脳内補完してしまう、というフィルムとしてはそれはそれで大正義な作品に仕上がりました。

 陳情令は全員大好き!!なんですが、特にweiboなどで追いかけているのは、江澄役の汪卓成さんと、聶懐桑役の纪李さんです。演技力の高低ではなくて「すごく好きだ」「もっと他の役が見たい」と思った俳優さんは他にも何人かいるのですけど。

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汪卓成さん(24)。
私がはじめて中国語で手紙を書いて、誕生日に送った人です。
 音大付属の音高から、中央戯劇学院(←すごい)ミュージカル学科に進学。ビリビリ動画などに当時の映像が残っていますが、素人の高校生であんな仕上がってる人いません(友人談)。

 私は、人間が同時に持ってしまうことのある、矛盾・相反する感情を認めて、どちらにも強く説得力を持たせることができる俳優さんが大大大好きなんですが、『陳情令』の江澄がその点素晴らしかった!!思い出すだけで泣ける。キャラではなくて、血の通った人間を!!創造できる人!!個人的には陳情令は、そうした江澄のリアルな造形がなかったら今こうなってないとまで思います。

 見た目が王子様なので、男主人公(強い)の相棒か女主人公(強い)のわきを固める役になりがちだけど、いろんな複雑な役をやっていろんな顔を見せて欲しい!と強く思う俳優さんです。中の人はいつもホニャーとしてて、共演した俳優さんには「いつもディズニーの歌を歌ってるプリンセス」と言われたり、いつもドッキリを仕掛ける相手に選ばれるタイプですが、多分まじめでギャグが通じなく、陽キャにいじられても「あは…」て笑顔を作ってそこにたたずんでるタイプ…なのかな。1年に何回かおちこむのか、こっそりSNSに決意文や反省文を書いては(しかも英語で書いたりする…)ファンを心配させるところも、本人はいたって大真面目で、若者らしくて大変好感が持てます。
 当初はいつもツンケンと怒って暴言を吐いている江澄(画像左)に、こんなほがらかでニコニコとしている人をキャスティングしたのはどういうこっちゃ、と思っていましたが、今はなんとなく、ふたりの根底にある、物事を真面目に考えるがゆえの悲哀みたいなものが似てるのかなと思ったりもします。物事を真剣にやる人を茶化す人大嫌いさ。私は汪卓成さんが大好きです。ハリポタ大好きでイギリスっぽい発音の英語を流暢に話す彼、英語のミュージカルにも挑戦してほしい!

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次のドラマは、ぽっぽアドベント直前にこんな沼が待っているとは思っていなかった『棋魂』

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まんが「ヒカルの碁」のリメイク作品です。もちろん私は「ヒカルの碁」が大好きなので「え~大丈夫?」なんて思ってたんですよ。佐為らしき人物のメイクは濃いし、服装も狩衣のようでいて、中国の古装ドラマでよく見るようななんちゃって服だし……まあ、余計なこと考えた、私がバカでした。

 蓋を開けてみたら、中国の評価アプリで年間上位に食い込む高評価!!私ももう何周もしました…。日本語字幕もないのに。こっちは鼻セレブ置いといた方がいいです。制作陣は「作品のもつ魂はそのままに、ブラッシュアップした」と自信満々だったのでどれどれ、と見てみたのですが……むしろ設定を借りた違う作品です?!!!あれぇ?!

 「ヒカルの碁」は、少年漫画の王道スポコンなので、ごく普通の少年が求道者として目覚め、まわりの友人やライバルたちと切磋琢磨しながら、努力し向上する生き様を描いた作品だと思ってます。珍しい「囲碁」という世界を取り上げ、囲碁の世界の壮大さを紹介する作品でもありました。
 ですが『棋魂』の制作陣は多分わかっているのです。今もなお『ヒカルの碁』を語る人たちが口にするのは、作品から垣間見える人間ドラマなのだと…。

 はっきり言って、原作では、主人公のヒカルとそのメンターである佐為、そして生涯最大のライバルであるアキラ…3人以外の人間ドラマは、さほど描かれていません。(中国の囲碁界を紹介するための装置として、伊角はちょっと描かれていたけれども)彼らは中学生男子ということもあり、自分の感情が重要項目で、他者はそこまで描写されず、情緒的な語り口にはなりにくいのです。
 ですが、あの頃『ヒカルの碁』を読んでいた子供はもう大人です。「名作だった」という記憶補正はあるのですが、今読むと「ヒカルって子供だな」と思うお年頃です。棋魂はそこを狙い打ってきました。登場人物を高校生にし、進路や家庭のことで悩むドラマを入れ、主人公は家族や隣人を愛し、そして愛される魅力的な人物に少し成長させました。その上でこれでもかとばかりに、囲碁を介して発生する、様々な人々-大人も青年も少年も-の感情と青春を描き、群像劇に仕上げてきました。

 どちらも、古代から続く壮大な囲碁の世界に生きる人々の話なんですが、『ヒカルの碁』は、誤解を恐れずに言うと、国破れて山河在り、の視点を感じます。人は死ぬが、囲碁は滅ばない。なんで私がそう思ったかは不思議なんですが。『棋魂』は、もっと視点が人に近いんですね。今そこにいる人がリレーで隣に光をともしていき、それが結果的にいつしか長く続く道になったのが囲碁の世界。…みたいな。

 ネタバレになるので内容は書きませんが、32話で『棋魂』という物語の総括にあたる台詞を佐為が言います。これ、はっきりいって『ヒカルの碁』の半分を否定したーとすら思います。(個人の感想です)でもね…もう…私も大人なので!!!すごくよく…わかるんですよ!『棋魂』がそうした理由を! このドラマが、これが『棋魂』なのだ!と胸を張って言い切ったこと自体に感動しましたし、それが一つの正解だったことはそれまでの32話を見ていればよくわかりました。
 ただの原作再現なら、原作を読めばいいんです。今のこの時代にドラマにするなら…とメッセージを込めたこと、勇敢な決断で、素晴らしい作品だと思います。もっと雑に言うと、原作で物足りなかったところ、あれもこれも肉付けされてるので、肉付けの方向性が合う場合は絶対心のドラマになります。

 こちら、先ほど書いた『陳情令』の推しである纪李くんが出演してるので見始めたのですが…ここで推すのは主人公・时光を演じた胡先煦さん(20)

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13億人の頂点の俳優たちが行く中央戯劇学院表演系で、全国3番目の成績で入学したスーパーエリート。子役から活躍していたのでキャリアは長いのですが、「なんだただの天才か…」てやつなのでもう見て(こればっかり)

 私は見ていないのですが、『如懿伝~紫禁城に散る宿命の王妃』の第四皇子とか、『琅琊榜<弐>』の大梁皇帝っていう方が、有名らしいですね?如懿伝は今まさにチャンネル銀河で放送しているらしいですね?見ます!!
 私は『愛される花』というドラマで主人公の高校生時代を演じている彼を見たのが初対面です。物語の前座なのですが、彼含めた高校生キャストたちが、大人キャストを食っていて…。大人編(本編)が物足りなくて、おかげさまで途中で止まってしまいました。いつか見るけど!こんなことあるんですね。

 香港の言葉で「老戲骨」という言葉があるそうです。演技力があって、どんな役でも演じきるベテラン俳優を指すらしい。彼はその言葉から「小戲骨」と形容されるとか。年齢以上に卓越した演技をする子…て感じでしょうか?見たら誰もが「確かに」と思うと思います。なんというか、リアルすぎる棒演技が日本のサブカル界隈では相変わらず流行っていますが(私の偏見です)、彼の演技はエンタメらしく派手で華があり、それでいて最高にナチュラルで……私なんぞの言葉で形容するのももったいない。というかあれが「演技だ」とすら本当は書きたくないのです。

今後がとにかく楽しみな方です…!これからもいい役やってくれよ……!

棋魂は英語字幕他で現在のところ全36話無料で見られます~漢字がおすすめだけど…!グヌヌ

 

琅琊榜<弐>のほうはAmazon Primeにあるよ

 

 他にもたくさん「おもしれードラマ」てなる作品あるんですがひとまずこのへんで……


で、ここからはオチです。

 こんなにたくさん「中国ドラマがねえ」と書いてきたのですが、最大の「変わらなかったこと」があります。私の中で世界最高の推し、ブライアン・クランストンに2020年も惚れ直しました。

 ここまで何千字も使って、「ハリウッドはCovid-19で止まったけど」という話を書いたのに、ブライアンは止まらなかったんですよ!

 世の中の撮影が止まり人々が家にこもり始めた頃、フィルムメイカーな彼は自宅で作品を作り始めたんです。最高でしょ?

 有名な二人芝居である朗読劇の『ラブレターズ』ライブを行ったり…(相手役のサリー・フィールドも最高にエモかったのになんで一夜限り公開なのか?!)、This is Us脚本のダン・フォーゲルマンとレッドノーズデイのショートムービーを撮ったり…(天国からじいちゃんが孫にパンデミックに気をつけろと言う縁起の悪い動画…なんでもう非公開なの~)、インスタのストーリーでは奥様とマスクしたままディナーするコントや、(結局二人とも感染してしまったやないかい、無事でよかったよ)エミー賞でも自宅の庭で面白いことやってましたね……。(非公開過ぎて画像がなくて恐縮です…気になる人声かけてや…。)

孫に電話してくる天国じじいの図

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 そんな彼ですが、9月にはDisney+で新作映画『ゴリラのアイヴァン』、この12月からは新作ドラマ『Your Honor』の全米での配信が始まりまして……!アメリカのCOVID-19はそんな落ち着いていないだろうけど、やれる範囲で変わらず創作し続ける(彼はよく自分を評して「私はゴルフはしないので、その間仕事をする」と言うワーカホリック)彼のことが変わらず大好きなのでした。

↓ゴリラのアイヴァンページに飛びます。リンク貼ったらアイコンくらい出るようにしてくれ。

↓日本からはまあすんなりとはまだ見れない。早く来て。

 

 図らずも自分の一年の総括になってしまいました。今年もあと10日くらいで終わっちゃうんですね。仕事がしまりません。古い友人たちよ、今年も一年ありがとうございました。新しく知り合った方々におかれましては、これからもよろしくお願いします。推しは全員元気でいてください。

おわり。

 

明日はまどりさん、FIGAROさん、じゅごんさんが執筆されます!

はじめて中国ドラマにはまって、はじめて中国行ってみて考えた話

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はじめましてこんにちは、コットンと申します。はとさん主催の素敵な企画、アドベントカレンダーの12/19担当です。

いい企画だねぇ…と思いつつ、私は文章がへたくそですのでスルーしていたのですが、たまたまカレンダーを見たところ、一か所だけポツンと空いていたのでそこに参加しました。何かあるんでしょうか19日。

 これから書く内容はタイトルの通り「初めて中国ドラマにハマってはじめて中国行ってみて考えた話」です。ここで特筆すべき点は、私は洋画沼の住人だということです。洋画と言っても、結局多くはハリウッドとUKの映画のことですから。そんな洋画沼の住人がおっかなびっくり中国の沼をのぞいてみた体験記、という感じになります。旅レポではないです。旅はいつか本にしたいと思うのですが、そこには多分、洋画オタクっぽいことをこまごまと書かないので…オタクのボヤキを中心に書きたいと思います。結果悩ましい迷いの話になってしまいました。10000字超えました。

 

【ことのはじまり。軍師連盟との出会い】

 ことの始まりは、洋画沼おなじみWOWOWから加入者に毎月届く冊子をパラパラ眺めていた時のことでした。そこに三国志司馬懿 軍師連盟~』とドーンと(たしか見開きで)組まれた特集ページがあったのです。

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 司馬懿は「しばい」と読みます。中学の国語の時間に「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という故事を習ったかと思うのですが、その走らされた仲達さんの名前の上半分が「司馬懿」です。WOWOWも自信がないのか、「司馬懿」にルビがふってあります。最近ではFGOで見た!と言われることも増えましたが、見てみたらギャルだったので?うん???てなってたりする。

 ここでは私は急に「中国ドラマデビューしてみよう」と思い立ちました。理由はいくつかあって、
映画「新しき世界」や「名もなき野良犬の輪舞曲」「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」によって、アジアやるじゃん!と自分の中でブームが来ていた
もはや多くのコマがネットスラングと化している、横山光輝のまんが「三国志」(全60巻)をたまたま全部読み返したタイミングだった
WOWOWがわざわざ日本に持ってきて「金かかってますよ!」と見開きで特集組むんだから、日本人が見てもそれなりに面白いに違いない
主人公が司馬懿だった
てな感じです。特に④ですが、司馬懿仲達を知らない方に説明するとこの本の表紙の人です。

待てあわてるなこれは孔明の罠だ

待てあわてるなこれは孔明の罠だ

  • 作者:原 寅彦
  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: 単行本
 

 いかにもやられ役。いや実際そんなことはないんですが、ジョン・ウーの映画「レッドクリフ」を見てもわかるように、「三国志」とエンタメ文脈でいう時、たいてい主役は「諸葛孔明」だったり、彼の所属する国。でもこのドラマはその敵国の武将である「司馬懿」をわざわざ主人公にすえたわけです。「織田信長」じゃなくて「麒麟がくる」なわけです。しかも主演の俳優は地味目のおじさん…というところに(少なくとも長谷川博己ではなさそうだ)、逆にドラマ側から発せられるクオリティへの大いなる自信と、ただならぬ野心を垣間見て、視聴を決めたのでした。ついでに布教しようと思ってたくさん書いちゃいましたごめんなさい。

 ドラマにどうハマったか詳細は省きますが、結果としてこのドラマ「軍師連盟」(全86話)は私の海外ドラマ・オールタイムベストTOP5内に躍り出たので、興味のある方はぜひ見てみてください。家族を愛してやまない一人の男が、自身の正義や欲望や野望に向きあい戦い続ける、大変贅沢なつくりの一代記です。衣装も音楽も最高!長編ドラマのいいところは人物の変化を丁寧に描けるところです。製作者はきっとブレイキング・バッドを見ただろうと私は思います。また、さすが13億人の頂点に立つ俳優たち、メインキャストは全員天才です。なんだこれは。下の画像をクリックするとhuluの視聴ページに飛びます。

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 なお先ほど「地味目のおじさん」と呼んだ俳優、↑の中央にいる呉秀波さんは中国大陸で最もモテる50代と言われた、当時の国民的超絶大人気スターであり、私がのちに「ギエエエ天才!!我爱你!!」と地にひれ伏す未来が待ってることは当時は予想できませんでした。私ときたら白ブリーフの地味なおじさんが出てくるドラマのせいで人生狂っている前科があるのに、学ばないですね。

 

【旅のきっかけ】

※ですます調疲れたのでやめます

 これはもう、いろんなことが本当にたまたま同時多発的に起こった。天の采配だったのだ。

①そんな軍師連盟にハマるなか、春秋航空が新規路線・就航記念バーゲンセールで中国各地への航空券を3999円で発売しはじめた
WOWOWが旅行会社と「軍師連盟・聖地巡礼ツアー」を販売しはじめた
③ちょうど公開された映画「キングダム」(韓国ドラマじゃないよ)を見て、パンフを読んでいたらロケ地である中国の映画村について書かれていた

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 まず②については、割と驚いた。オタクコンテンツにおける「聖地巡礼」が持つ、ミーハーでかつ重たい愛のイメージを、公式が後押ししようとしたことに。旅行会社のHPには、簡単なツアー日程が掲載されていたのでどれどれと見てみると…

「ここ ↓ にも行きます!」と書いてある。

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は??これCGじゃないの???実在?????

 画像のふたりは、主人公とその主君のバディ。この場所は、劇中ふたりが作戦会議をしたりデート(意訳)をしたりする時にちょくちょく来る、ブレイキング・バッドなら荒野、シャーロックならSPEEDY'Sくらい大事で印象的な場所。なにより嘘みたいなこの巨大な岩、え?これ実在する?この冗談みたいな橋も?早速ツアーパンフに書いてある地名で検索すると…

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あった。

 私はまず「こんなのCGに決まってるだろ」と疑いもしなかった私のハリウッド脳を恥じ、そしてすぐ「中国ってなんか…すごい(もの内包してるんだ)な」とこう、ポカーンとする気持ちになった。

 そして③、映画「キングダム」のロケ地である映画村。京都の東映太秦映画村を想像してもらっていい。ちなみに象山影視城というそうだ。「影視城」には聞き覚えがあった。映画「空海」で、やはりそうした映画村で撮影したとパンフに書かれていたからだ。というわけで「軍師連盟 影視城」で検索してみたところ、すぐに「横店影視城」で撮影したことがわかった。(※WOWOWのツアー日程に入っていたはずだが何故か覚えていない)

 そんなかんじで、②と③の場所を検索し、①のバーゲンセールで行ける場所を並べてみたところ… あのクッソ広い中国大陸なのに、東京~静岡間くらいのところに②も③も空港もぜーんぶ収まっている!ウッソ!これは行くしかないんじゃない????3999円だよ????…というわけで友人を誘い、腕まくりで軍師連盟聖地巡礼セルフツアーの手配を始めた。

 

【中国旅の計画】

 まずとにかくいろんなものに英語ページがない。Booking.comとトリップアドバイザーで歯が立たない場所に旅行なんて、したことがないのだ。あきらめて中国語サイトで検索しようとするも、目的地である「縉雲県」が読めない。読めたところで変換に出てこないから打てない。盲目的に手書き入力とコピペで検索するが出ない。なぜだ。それは、中国大陸では「缙云县」だからだ。そうか、繁体字簡体字があるんだった…。こんなところからスタートの旅なんて何十年ぶりだろう。空港がある街は「寧波」というのだが、これも「宁波」。なに、その宇みたいの!もう!

 久しぶりに「地球の歩き方掲示板」に「バスの予約の仕方教えてください!」なんて書き込みをした。(⇒外国人はできません)そうやっていくうちに、Booking.comにあたるサイトは「Ctrip」という超有名サイトがあるらしいことが分かった。Uberにあたるアプリは「滴滴」というらしいとか、GoogleMapの精度が低いので「百度地図」を使うのが常識らしいとか、だんだんわかってきた頃、おおむねの手配が終わった。この文章で唯一有用なのはこの段落です。

 

【中国オタク旅の計画】

 ところでこれはオタク旅である。とくに目的地の一つである「横店影視城」は、中国でも有数の規模を誇る撮影基地であり、要はアメリカのユニバ―サルスタジオ(日本とは違い、撮影用の街並みが遊園地に併設されて制作されている)みたいなものが横店の街中に点在しているとのことである。

 ちょっと話はそれるが「映画村」について記載する。日本で有名なものは「東映太秦映画村」になると思うが、ここは実際に時代劇を撮影するためのオープンセットと、それらをモチーフにしたアトラクションやショーがある。ここはジェットコースターはないが、城や屋敷を模した巨大迷路とか、忍者ショーなんかがある。実は撮影も見学できることがあるらしいが、スケジュールは前日夜発表というから基本は運で、客に見せる気はなさそうだ。

 アメリカの「映画村」はどうか。私はロサンゼルスでユニバーサル、ワーナー、ソニーピクチャーズのスタジオを見学してみた。アメリカのユニバーサルスタジオは、NYの街並みが再現されたエリアがあり、マーベル映画などもそこで撮影されていたりする。プロップを作る工房や倉庫、巨大なスタジオ街も併設されていて、VIPチケットで申し込むとそれらを歩いて見学できる…のだが、基本は客に「この場で映画を撮影している」気分を味わってもらうような演出がしてあるアトラクション、といった感じ。もちろん日本にあるものと同様、それらをモチーフにした遊園地もくっついている。
ワーナーも同様だが、さすがに遊園地はない。(給水塔が乗っている屋根を見た時は感動した)きちんとツアーコースが決まっているようだった。ユニバと比べて作り込んだ森と湖が美しかったような印象がある。
ソニピクは少なくとも見学範囲には街並みを再現したようなセットはなく、ガイドについて建物群の中を歩いて移動する。その都度ガイドが「今入れる?」と部屋の主に聞いているところを見ると、ここはちゃんと人が作業をしている場所に感じる。スタジオ街の中にFBIを丸ごと作ってあったりした。ガイドは道中何度も「ここから突然ウィル・スミスが出てきたことがある」といったようにラッキーが突然やってくるかもしれないと演出していた。

 さて横店がどういう場所かはわからないが、少なくともユニバのウォーターワールドっぽいショーや、中華風のモンスターと兵士が出てくるスパイダーマンのライドみたいなものがあるのはHPから確認できた。

 そんなわけで情報収集のために微博(中国版Twitter)に登録してみたところ、なんと横店影視城の公式アカウントがふつうに毎週「今週はどれそれのドラマ(主演:〇〇)の撮影をやっています」と告知していた。

おうてん

驚いた。そもそも撮影中ならまだそのドラマは誰も見ていないはずではないか。そんな情報をバラしていいのか?と不思議でもあった。(しかし多い!中国は制作されるドラマの数が半端じゃない)

 これは調べてみたところ、どうやら大きな撮影の前には慣習としてスタッフや俳優がみんなで祈願の儀式?をするらしい。それがイコール「制作発表」であり、どこで撮影するかも同時にわかってしまうので、隠しても意味がないんだろう。( ↓ 画像は実際の一部。長くなるので画像を割愛。ソースはQRコードを参照のこと。しかし話はそれるが、かなりの解像度の画像や動画を、公式アプリの機能で保存させてくれるのは、心も痛まずオタクには嬉しい機能)

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ここで私は考えた。「俳優が撮影中、横店影視城にカンヅメなんだったら、ファンが押し寄せるはず…?

 私はロンドンやニューヨークで観劇やイベント参加を経て、観測範囲は狭いが「どこに行ってもアジア人は熱狂的だ」という仮説を立てていた。熱狂的というか、私も含め「いい結果を出してやろう」という執着がすごい。いい結果というのは、俳優とお話できたり、サインをもらえたりするようなことだ。公開前の映画で恐縮だが、グザヴィエ・ドラン監督の新作映画でも、アジア人の唯一の出番は、レッドカーペットで俳優に熱狂しているファン数名だった。明らかにここだけアジア人の比率が高すぎたので、私の仮説は正解だったと身につまされた。

 話を戻そう。中国のファンが横店影視城をほっとくだろうか。それとも中国のファンはドライなのか。もしくは警備やファンの自治が相当厳しいとか?そういう「雰囲気」がわからなかった。

 以前、私が羽田空港で来日するサイモン・ペグを待っていた時、黒づくめのスーツの男性が近寄ってきて「誰かを待っていますか?」と聞いてきた。なんとなく言いよどんでいると、「韓国の人じゃないですよね?」と重ねて聞かれた。違いますと答えたそのすぐ後、スラッと背の高い、黒いマスクをしたいかにもなお兄さんたちがサーーッと歩いて行ったので、「ああ、K-POPは空港の出待ちはダメなんだな」と察した。その後来たペグちゃんは、みんなに笑顔でサインをし写真を撮って去って行った。国が違えば対応が違う。果たして中国はどうか。

 そこで「横店 攻略」で検索したところ、あっさりとスターに会いたいファンのための攻略サイトが出てきた。熱量はすごいし、内容はエグいし、シークレットな情報を売ってさえいる。おそらくスターの泊まっているホテルだとかそういうことだろう。そんな感じでファンを追っていくと、ネットにスッピンの俳優の車をたくさんのファンが待ち構える動画が大量にあってびっくり!さらにそれを影視城やファンクラブの公式がRTしていてさらにびっくり!自分にはない常識だ。中国のファンの日常なのかもしれないが、今のところ、心情的にもさすがにそこまでする気にはなれない。

 そうこうしているうちに、横店影視城の中でも、①ユニバ遊園地のように一般客が楽しむエリアと、②撮影スタッフしか入れないエリアと、③人数限定で特に予約をした客のみが入れる撮影用エリアがあるということがわかった。③は公式ページからは存在をうかがい知ることはできない。地図にすら載っていない。私が攻略サイトを見て、旅行サイトの口コミを見て、人づてのいくつかの小さな情報を合わせて、最終的に③があるんだろうという結論に勝手に達したまでだ。私は何とか、③に潜り込む方法はないだろうかと探しに探した。まずは撮影現場とかって普通に見てみたいじゃないか。

 結果③にあたるエリアの予約をすることができた。正直この人生の旅行予約の中で一番手間がかかり難易度が高かった。入金してもバウチャーなどはなく、チャット(中国語オンリーだ)で聞いたら、聞いて初めて教えてくれた6桁の暗証番号を係の者に言えとだけ言われた。雑だ。

 

【行ってきた】

 どんな旅だったかはいつか旅レポを書くとして、結論としては素晴らしい旅だった。

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 軍師連盟のバディである司馬懿曹丕がよくデート(意訳)していた岩も橋もあった。(なお間近で見てもCGのようだった)

 横店では軍師連盟に出てきたアレやそれがてんこ盛りで、大変感動したし、4Dライド「龍帝驚臨」はユニバのスパイダーマンと同じくらい面白かった。(動きや映像といったソフト面は少々雑でマーベルにはかなわないが、ハードの設計のダイナミックさはこちらに軍配が上がった)

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 また、実際のドラマの撮影をすぐ横で見物することができた。これは予約した③のエリアで見たのだが、なんというか自由で、たとえば我々に入館パスがあるわけでも、巡回ルートがあるわけでもなく、ただ野に放たれた。セキュリティとは?我々は勝手に広大な撮影セットに入ってうろうろした。「撮影中」のテープがある所までは歩いて行けて、トラックが来たら勝手によける。ドラマの撮影中にスマホを出しても誰も見ていない。スタッフがセットを組み立てている横を通り抜けて次の場所に行く。なんなら撮影スタッフに「仕事?旅行者か?日本人?友達になろう!」とか言われるレベルで放置だった。

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 残念ながら見学できたのは軍師連盟に出演していた俳優さんのドラマではなかったが、バズーカみたいなカメラを持った少年が推しの女優さんの待機するトレーラーの横でそわそわしているのを見るのもほほえましかった。台湾から来たカップルがセットの屋台で食事ごっこをしていたので、我々も共に候吉※ごっこ(※軍師連盟に登場する主人公の家のスーパー使用人。料理が得意)をして遊んだ。

 中国は見るものすべて素晴らしく、新しく機能的で、でも雑なところの雑さ加減はハンパじゃなかった。ごはんはどれもおいしかったが、予想に反して油分と塩分は控えめのやさしい味だった。人はみなスマホを使い慣れていて、言葉の通じない日本人にも大変親切だった。

 

【帰ってきた、その後】

 帰ってきたあと、微博で俳優さんのアカウントをフォローしてながめたりしている。中国版YouTubeニコニコ動画であるところの、优酷やビリビリ動画を見たりしている。そうしていると、やっぱりちょっと洋画沼にいるようにはいかないなと思うところも出てきた。

 それは単純に、電子書籍を買おうとしてもクレジットカードでは買えなかったり、事実上外国人には売ってもらえないといったレベルのことから、もう少し気まずい話題まで多岐にわたる。単純に私が無知なのだがこれは獲得していく過程なのだと思ってあまり怒らないでほしい。

 例えば直近では12月13日。この日はいわゆる「南京事件」で特に南京城が陥落した日とされる。いわゆる「南京大虐殺」だ。(日本語wikipedia)この日はフォローしている俳優さんがほぼ全員「日本の侵略者に30万人虐殺された南京を忘れない」という内容の記事を微博でRTしたのだった。まずその横並び一線の行動に私は驚く。誰かの指示なんだろうか。社会の圧なんだろうか。
 そしてさらに驚くのは、そうした日なのにほぼヘイトが見当たらないことだ。少なくとも俳優たちの書き込みはせいぜい「歴史を忘れない。平和を望む」くらいで、それにぶら下がるファンのコメントも同様。それにも驚く。私の知っている世界中のSNSでは、どこでもたいてい頭のおかしいやつが出てきて、特定の国や民族や宗教に対して許されないことをつぶやくはずだが、ここには不自然なくらいそれがない。中国の人が特別に意識が高いんじゃないなら、これはきっと何かの力が…働いているんじゃないかと想像してしまうくらいだ。明るく正しい場なのに、背景に不自由を感じてしまう自分もいる。

 そしてやっぱり、推しの俳優さんが抗日(反日)ドラマに出るのを目の当たりにするのも複雑だ。正直ナチスやロシアを悪役にするハリウッド映画は今でもたくさん作られ続けているが、抗日ドラマの作られる数や頻度といったらハンパじゃない。気が付けば知っている俳優さんが出ている。そんな感じだ。
 軍師連盟に出演した俳優さんの最新抗日映画が東京でも上映されると聞き、調べたところなんと日本語字幕なし。これは複雑だ。
 ただし東京での上映を告げる微博の記事にはずらりと「なんで日本でやるんだ…」「中国人向けでしょこれは…」と疑問を呈するコメントが並んでいた。ここでもやはりヘイトはなかったどころか、心配する声ばかりが並んでいたのが印象的だった。
 同様に、東京上映をTwitterで調べると、中国俳優ファンの日本人が「見てきました!〇〇超かっこよかった~っ!例の曲は後半でかかりました!」と明るくツイートしていたりする。例の曲というのは、よくわからないので想像の域を出ないが、前後の文脈からすると抗日ドラマではよく流れる、あまり日本人には嬉しくない曲の事と思われた。どの態度も、それでOKなのかよくわからない。なんとなく、居心地がよくない。

 洋画沼で見るものは、意識してひきよせることはできてもつまりは他人事なんだなと感じる時はある。リンカーンの話をアメリカの人のようにはなかなか感じ入れないし、ヒッピー文化はいつまでもよくわからない。
 でも中国沼では、逆に、勝手に忍び寄ってくる過去の歴史や政治について、いえいえこれはそっと目を伏せておきましょう、という無視の意識を持つことになる機会がある。これは韓国の沼にもきっとあるのではないだろうか。推しが出演している作品を全力で推せないのは、なんだかもどかしい。コリン・ファースの「高慢と偏見」はいつも見かけるのに、「レイルウェイ」についてはTLで全然見ないな、とふと思う時の気持ちに近い。私が日本人であることをいちいち意識することは日常ないし、私は戦争や侵略をしたことはないのだが、意識の外に置くのも違う気がする。

 私の場合、生まれ育ちは北海道。車で隣の県に移動することすらできない土地で、地名はほとんどアイヌ語だ。少なくとも私の周りでは「隣国」はロシアの事だった。ロシアから、大けがを負ったこどもが運ばれてきたり、小学生が毎年交換留学していたり、北方領土についてのデモや遺骨を捜索しに行く人のニュースも何度も見た。シベリアやツンドラというような北国な言葉にも親近感を持っていた。
 そんな土地でもあったので、そもそも在日の人を見たことがなく、大人になって東京に来るまで、遠い中国や韓国のことはほとんど考えたことがなかった。なので普通に生まれた時から内地(※北海道方言。多くの場合、本州と四国と九州をまとめてさす時に使う)で暮らしている人より意識が低くて、概念として持っていないことも多いと思う。

 そんな気持ちが交錯して、果たして私はこのまま中国ドラマを好きになっていいのか?と迷ったり躊躇してみたりする。そして同じことを、普段あまり考えないようにしている、英国や米国にだって範囲を広げて思っちゃったりする。
 いやいや日本って国に一番いい加減にしろよって思ってもいるけれど、税金納めて幾星霜、私も結局日本の構成要素として片棒を担いでいるわけで、一介の大人としてそれにも落ち込む。日本の経済をぶち上げて政府なんてどうでもいいぜってなるようなヒット商品とか作れたらよかったんだけど。
 そして最終的にすぐ「それとこれとは別!」となったりもする。アメリカが中東に爆弾を落としていた時、世界の誰がハリウッドをボイコットした?いやいやハリウッドにはアメリカを批判する態度を期待したんだよって?などと、私などが考えてもしようがないことをぐるぐるしてしまう…。

 

【さいごに】

 結論はでていない。10000字も書いて何言ってんだって話なんですが。出ていないんだけど、無知よりはたくさん知っていた方がいろんな判断ができると思う。思うので、せめて映画やドラマを通してだけでも外国や隣国に関心を持って、あれこれ見てみたいという元々持っていた欲望が、中国ドラマのおかげでより一層強くなった。

 洋画沼で常日頃感じていた、西洋の正義の圧力をしんどく感じていた瞬間と、そう思う自分への罪悪感。でも異なる正しさだって世界には確かに存在している。どちらも正しいという世界になればいいけど、今は傾斜があるように感じているし、それを不服に思う気持ちもそのままにしておこうと思う。(なお私はクレイジーリッチ!もブラックパンサーも「ふ~ん、欧米人が喜びそうな映画だね」と感じたタイプである)

 もともとお箸の国の人たちに対して持っていた親近感を育てていこうと思っている。訪れるために色々調べたことで、「親戚なんだな」と思うことが多くなった。(欧州の人たちはこういう感覚がきっと私より強いんだろうな)
 またすぐ中国を訪れたいと思う。てかもうチケットとった。イエイ。韓国も15時間くらいしか滞在したことがないから行きたい。日本ももっといろいろ行ってみたい。

 洋画沼でチャプチャプしている自分がその価値観に触れてから、何十年目かに足元を見てみるようにしたその変化、これが、2019年の私の「動かされたもの」です。みなさま、ハッピーホリデー!よいお年を。

 

 

【おまけ】
 はとさんに「本の宣伝をしなさい」と仰せつかったので載せます!
サンディエゴ・コミコンに行ったり、ハリウッドに行ったり、テレビ番組「CONAN」を観覧に行ったり、スペインのゲーム・オブ・スローンズのロケ地に行ったりした時の、旅行本を書いています。がんばって書きました。

限界漂流 - BOOTH映画好きが、主に旅の本を書いています。上の写真をブラジルから中国にかえてみました。縉雲県、仙都風景区の鼎湖峰です。  

ぜんぶまとめて

 普段は140字の世界に生きているので、こうしたぼやぼやした話はたまに友人にDMでするくらいでして。今回一気に書いたので、ちょっと息切れしています。長文を最後まで読んでいただきましてありがとうございました。機会をくれたはとさんありがとう。

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